この手紙は中学生になる娘に宛てたものです。
娘の父として伝えたいこと。
あえて直接ではなく、伝えてみました。
いきなりお父さんからこんな話を振られて、照れちゃってますか?
思春期の頃って、お父さんのことを「キモい」って思ってしまう時期らしいから、
正直、こんな話をするのもどうかなと思ったんだけど……
でもまぁ、せっかくなんで、少しだけ話しておこうかなと思います。
最近、ちょっとずつ「恋」ってものに興味が出てきたんじゃないかな。
誰かが気になる。話してると楽しい。なんかドキドキする。
そういう気持ちは、とても自然なことです。
恋ってね、ほんとに**「落ちる」**ものなんです。
「好きになろう」と思ってなるんじゃなくて、
気づいたら心がふわっと向いている。
実はこれ、生理的な反応なんだよ。
恋をすると 気持ちを高ぶらせる物質が出て、ちょっとハイになったような、ふわふわした気分になる。
脳の中では、「ドーパミン」や「フェニルエチルアミン」っていう
つまり、恋してるときって、脳内がフラフラしてる状態なんです。
だから、「なんでこの人を好きになったんだろう?」なんて、
理屈では説明できないのが当たり前。
**好きになっちゃうのは仕方ない。**それはもう、そういうもの。
でもね、ここからがちょっと大事なところ。
気持ちは大事。
だけど、気持ちに流されすぎないことはもっと大事。
恋に夢中になると、相手のことばかり考えてしまうよね。
LINEの返信が気になったり、相手の態度ひとつで一喜一憂したり、
無理して笑ったり、がんばりすぎて疲れちゃったりすることもあるかもしれない。
そういうときこそ、少しだけ立ち止まって考えてみてほしい。
「この気持ちは、私を大切にしてくれてるかな?」
「この恋の中で、私はちゃんと“自分”でいられてるかな?」
恋って、自分の気持ちが育つ時間でもあるけれど、
自分をすり減らしてまで続けるものじゃないんです。
人を「好き」になる気持ちにも、いろんな種類があるよ。
どれも間違いじゃないけれど、
どんな「好き」が自分を幸せにしてくれるのか、
それを感じ取れるようになっていってほしい。
好き同士になったら、「付き合おうか」ってなることもあるよね。
でも、「付き合う」って、ただ“両想い”っていうだけじゃなくて――
それが、ふたりの関係を“育てていく”ということなんだ。
……あともうひとつだけ、ちょっと大事なこと。
正直、中学生の恋愛なんて、
**お互いに“自分のことしか考えていない”**くらいで、ちょうどいいと思う。
相手のことが好きで、相手に好かれたいって思って、
でも本当は、**「自分がどう思われるか」**が一番気になってる。
それって、実は相手も同じなんだよね。
だからこそ大事なのは、
ちゃんと「バランスをとる」こと。
自分の気持ちだけで突っ走らない。
相手に合わせすぎて疲れすぎない。
いい恋っていうのは、お互いのことを思いながら、
ちょっとずつ呼吸を合わせていくものなんだ。
とはいえ、実際にはバランスを取るのは無理w
恋に落ちるのは、誰にでもある。
それは自然なことだし、恥ずかしくなんかない。
でも、その中で――
「自分らしくいられるか」
「無理していないか」
「心の声をちゃんと聞けているか」
それを大切にしてほしい。
あなたの「好き」は、あなたのもの。
どうか、自分の気持ちを大切にできる恋をしてね。
そして、あなた自身のことも、ちゃんと大切にしてね。