地元のお祭りで、50年来の同級生に会いました。
近況を話しながら、「うちにね、もう孫がいてさ」と彼は言いました。一瞬、言葉の意味が追いつきませんでした。孫。同い年の人間に、孫がいる。
私の子どもは、まだ中学生です。
「すごいね」と返しながら、頭の中で何かが静かにひっくり返るような感覚がありました。同じ年に生まれて、同じ小学校に通って、同じ時代を生きてきた。それなのに、今この瞬間に立っている「人生の章」が、こんなに違う。
子どもを持つタイミングが、7〜8年違う。個人レベルではそれほど大きな差に感じません。価値観の違い、仕事の都合、パートナーとの出会い——「そういうこともある」で収まる範囲です。
でも、その差が世代を重ねると積み上がっていきます。
相手が20代前半で子どもを持ち、その子も同じくらいの年齢で子どもを持てば、50歳の時点で孫がいる計算になります。私のように30代後半で子どもを持てば、50歳の子どもはまだ中学生です。
同じ「50歳」という数字が、一方には「孫がいる人」を、もう一方には「受験を控えた中学生の親」を作り出している。どちらが早い・遅いという話ではなく、ただ、「今いる章」が違う。
お祭りの夜店の明かりの下で、その事実を静かに受け止めながら、ビールを飲んでいました。
さらに引いて考えると、この差は世代を重ねるほど広がります。
「早く産む」を3世代続けた家系と、「遅く産む」を3世代続けた家系では、同じ西暦に生まれた二人の子孫が、10〜20年以上の年齢差になっている可能性があります。「同い年だった」はずの人間の子孫が、もはや別の世代として生きているかもしれない。
これは単なる計算上の話ではなく、「家系の時間軸」とでも呼ぶべきものが、確かに存在するということだと思っています。早い家系は先祖の記憶が多くの世代に分散されていて、遅い家系は少ない世代数で長い時間を渡っていく。どちらが豊かかという問いに答えはありませんが、そういう違いが静かにある。
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少し時間を遡ると、この「タイミングのズレ」はもっと大きかったことがわかります。
江戸時代の平均初婚年齢は、現代より10歳以上早かったとされています。女性で15〜17歳、男性でも20歳前後が標準だった時代がありました。現代の晩婚・晩産とは、まるで別の時間感覚で世代が回っていた。
1世代あたりの年数が伸びた現代では、「3世代前の先祖」に辿り着くまでの実際の年数が、かつてより長くなっています。同じ「曾祖父の時代」でも、現代人が指す年代は、かつての人が指す年代より遠い。歴史の体感速度が、少しずつ変わっています。
少子化・晩産化が進む現代は、この傾向をさらに加速させています。「世代」の長さが伸びることは、社会の変化速度の感覚にも影響しているのかもしれません。
お祭りで再会した同級生と話しながら、「羨ましい」という感情は不思議とありませんでした。孫がいることの喜びも、中学生の親であることの充実感も、それぞれ本物だと思うから。
ただ、「同い年の人間が、こんなに違う章を生きている」という事実は、少し考えさせてくれます。
社会の多くの仕組みは、「同学年=同じ人生フェーズ」を前提に作られています。でも実際には、50歳の人間の中には、孫を抱いている人も、受験生の子を持つ人も、子どものいない人も、いろんな「今」を生きている人がいます。
年齢という数字は共通でも、その人が「どの章を生きているか」は、本当に人それぞれです。そのことを、お祭りの夜に改めて思いました。
50歳で孫がいる同級生と、50歳で中学生の親をしている自分。どちらが「正しい」タイミングだったかという問いは、たぶん意味をなしません。
ただ、自分が今どの章を生きているかを意識すること、そしてまわりの人が自分とは違う章を生きていることを想像できること——それだけで、人と話すときの質が少し変わるような気がしています。
「同い年」という言葉は、出発点が同じだというだけで、「今いる場所が同じ」という意味ではない。そのことを、地元のお祭りで久しぶりに実感しました。
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同学年や同世代の人と話したとき、「自分とは全然違う章を生きているな」と感じた経験はありますか?ぜひコメントで教えてください。
