饒舌なる静かな多様性論者のブログ

「AIは言葉の意味を理解していない」?──でも、人間だってそんなに分かってないと思うんです

このサイトはプロモーションを含んでいます。

そもそも「言葉の意味」って、そんなに分かってる?

たとえば、日常的に使う「がんばって」「ありがとう」「大丈夫」みたいな言葉。
これらを、明確に定義して説明できますか?

以前、「がんばって」と声をかけられたときに、ふと聞き返してみたことがあります。
「“がんばる”って、どういう意味で言ってるの?」

返ってきたのは、「いや、普通に応援してるってことだよ」という答え。
さらに突っ込んでみると、「気合い入れろってこと?」「もっと努力しろってこと?」と、少しずつトーンが変わっていき、最後には「…なんでそんな理屈っぽいこと聞くの?」と苦笑されました。

そう、人間同士でも言葉の意味を深く掘り下げると、「面倒くさい」「空気読んでよ」みたいな反応が返ってくることがあるんです。
つまり、私たちも多くの言葉を“なんとなくの雰囲気”で使い合っている。
言葉の意味は、必ずしも厳密に共有されていないし、それでも会話は成立しているんです。

人間に甘く、AIに厳しくなっていない?

AIが「ありがとう。応援しています」と返すと、「いや、感情ないのに何を言ってるんだ」とツッコミたくなる。
その気持ちはよくわかります。

でも、じゃあ人間が言う「ありがとう」って、いつも感情がこもっているんでしょうか?

  • とりあえず言ってるだけ
  • 場の空気で言ってるだけ
  • 心の中では別のことを思ってるけど、礼儀として言ってる

こういう「ありがとう」、実際たくさんありますよね。
AIが文脈を読んで“それっぽく”返しているのと、私たちが空気を読んで口にする言葉と──その構造、案外似ている気がしませんか?

人間も、言葉の意味を完全に理解してるわけじゃない

よく「AIは“意味”を理解していない」と言われます。
でも、その“意味”自体、人間の間でもズレていることが多いですよね。

たとえば「大丈夫」という言葉。
「本当に大丈夫なの?」と確認すると、嫌な顔をされることもあります。
言葉の意味を丁寧に確認しようとすると、かえって距離を感じさせてしまうことがある。
「ちょっと」「普通」「微妙」などもそう。人によって受け取り方はバラバラなのに、それを前提にして会話が成り立っているんです。

理解しすぎると、嫌がられることもある

皮肉な話ですが、日常会話では「言葉の意味をちゃんと理解しよう」としすぎると、かえってやりにくくなることがあります。

  • 「“大丈夫”って言ったけど、本当に大丈夫なの?」
  • 「“ちょっと”って何分くらいのこと?」
  • 「“普通”って、誰にとっての普通?」

こういう問いかけをすると、たいてい「めんどくさい人」扱いされます(笑)
つまり、人間のコミュニケーションは、「深く理解すること」よりも、「あえて深く突っ込まないこと」によって成り立っている場面が多いんです。

これって、AIが“それっぽく”言葉を選ぶ構造と、そんなに違わない気がしませんか?

言葉は「理解」より「共有」で成立している

人間もAIも、言葉の“完全な意味”を理解しているわけではありません。
でも、会話が成立するのは、言葉の意味を「共有されたことにする」という、ある種のフィクションが働いているから。

AIの返答に対して「それっぽいだけだ」と批判されることがあります。
けれど、その“それっぽさ”があるからこそ、人間は安心して会話できる。
それもまた、言葉の力のひとつだと思うんです。

おわりに

「AIは言葉の意味を理解していない」という批判は、確かに正しい。
でも、その視点を人間に向けたとき、私たちもまた、言葉の意味を“完全に理解しないまま”会話しているのでは? という問いを投げかけたいのです。

むしろ、意味の曖昧さがあるからこそ、誤解もあれば共感も生まれる。
完全に理解できないからこそ、会話は生きていて、面白い。

AIの言葉も、人間の言葉も、そんな“揺らぎ”の中で響き合っている。
私はそう思っています。

この記事を書いた人
SNSでフォローする