部屋を片付けられない人のブログ

機動警察パトレイバーにおけるジェンダー関係の描かれ方について

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先日ジェンダーによる役割について少し考えましたが、事例として私が若い(あるいは幼い)頃公開された漫画・アニメ(当時の言葉でいうとメディアミックス作品)である「機動警察パトレイバー」のことを思い出しました。

『機動警察パトレイバー』は、1980年代後半から1990年代にかけて制作されたアニメとマンガのシリーズで、近未来の東京を舞台に、巨大ロボット「パトレイバー」を使用した警察の特科車両部隊(特車二課)の活躍を描いています。この作品は、そのリアリズムと社会派のテーマ性で高く評価されており、ジェンダー関係の描かれ方も含め、多角的なキャラクター描写と社会的なテーマへの取り組みで知られています。

ジェンダー関係に関しては、『パトレイバー』は比較的進歩的な描写がなされている作品の一つでだといえるでしょう。主要キャラクターには、女性の隊員も多く含まれており、彼女たちは男性隊員と同等、あるいはそれ以上の役割を果たしています。特に注目すべきは、隊長の後藤喜一や主要キャラクターの一人である泉野明など、男女問わずキャラクターがその能力に応じて評価され、活躍する場面が多く見られます。

泉野明は、シリーズを通じて成長を遂げる女性パイロットであり、彼女のキャラクターは、性別にとらわれない能力の重要性を象徴しています。また、彼女はチーム内で重要な役割を担い、男性隊員と対等に扱われ、時にはリーダーシップをとることもあります。

しかし、作品内でのジェンダーの描かれ方は、単に女性キャラクターが活躍するだけではなく、日常のやり取りや対人関係の中での性別に基づく偏見や固定観念にも触れています。これにより、視聴者はジェンダーの多様性や平等について考える機会を得ることができました。

個人的には、初代機動警察パトレイバーでは、隊長が男性・指揮担当が男性ということで、これまでのジェンダー観を超えるものではなかったという認識でしたが、やはり時代背景を考えると、総じて、『機動警察パトレイバー』はジェンダー平等の観点からも先進的な姿勢を示している作品であり、その社会的なメッセージやキャラクター描写は、今日の視聴者にも引き続き関連性があると言えたでしょう。

また、『機動警察パトレイバー』におけるジェンダー関係の描かれ方を考える際、指揮者やリーダーが男性であることが、ジェンダー平等や多様性の観点から見た際の進歩性を必ずしも制限するものではありません。確かに、後藤喜一などの男性キャラクターが指導的役割を担うことは、従来のジェンダーの役割分担を思い起こさせるかもしれません。しかし、第一小隊隊長の南雲しのぶや、隊員である香貫花クランシー・熊耳武雄などの作品全体を通じてのキャラクターの描かれ方、特に女性キャラクターが果たす役割とその表現の仕方に焦点を当てることで、より複雑なジェンダー観が提示されていることがわかります。

『パトレイバー』は、女性キャラクターが単にサポート役に留まらず、重要な決定を下し、物語の進行において中心的な役割を担っている点で、伝統的なジェンダー役割に挑戦しています。泉野明をはじめとする女性隊員が示す強さ、独立性、そして彼女たちが直面する困難への対処方法は、当時のジェンダーに基づく期待を超えるものです。

このように、作品内での権力構造や指導的地位が男性によって占められている事実は、当時の社会的な状況と「その当時の未来」を鑑みても、作品のジェンダー観を完全には制限していないと考えられます。むしろ、多様なキャラクターがそれぞれの能力や個性に応じて評価され、活躍する様子は、性別に関わらず平等な機会を提供する社会の理想を反映しているとも言えるでしょう。

従って、『パトレイバー』が伝統的なジェンダー観を完全に超えているかどうかは議論の余地がありますが、ジェンダーの多様性や平等に関する問題に対して意識的に取り組んでいることは明らかです。この作品は、性別が個人の能力や価値を決定するべきではないというメッセージを、さまざまな形で提示しています。

また、興味深いのが後年になって制作された、「パトレイバーREBOOT」という作品で示されたキャラクターの組み合わせです。

やり手っぽい女性の隊長、女性の指揮担当、 少し気弱そうな男性のパイロットという構成でした これはどのようなジェンダー観の進歩を表しているのでしょうか?

「パトレイバーREBOOT」は、『機動警察パトレイバー』シリーズの新たな解釈を提供する短編アニメ作品で、元のシリーズとは異なる時代背景とキャラクター構成を持っています。この作品で女性が隊長や指揮者を務め、気弱そうな男性がパイロットという役割を担っていることは、ジェンダーに関する既存のステレオタイプや固定観念に挑戦し、より多様なキャラクター表現と性別の役割に対する進歩的な見解を示しています。

女性が指揮的な役割を果たすことは、リーダーシップや権力の位置にある女性の描写が増えている現代のメディアトレンドを反映しています。これは、性別に基づく役割分担の伝統的な観念を乗り越え、女性がどのような役職にも就けることを示唆する重要なステップです。また、リーダーシップの資質が性別によって決まるわけではないという現代的な理解を反映しており、多様性と包括性の観点から重要なメッセージを発信しています。

一方で、気弱そうな男性パイロットのキャラクターは、男性が必ずしも伝統的な「強さ」や「決断力」を持たなければならないというステレオタイプに疑問を投げかけます。このようなキャラクター設定は、感情表現や脆弱性を示すことができる男性像を提示し、ジェンダーの多様性と性別に対するより包括的な理解を促進します。

「パトレイバーREBOOT」におけるこれらのキャラクター構成は、性別が個々の能力や価値を定義するものではなく、さまざまな性別がそれぞれの強みや特性を持っていることを認める、より進歩的で包括的なジェンダー観を示していると言えるでしょう。作品は、ジェンダーに関する固定観念を超えた多様なキャラクターと役割を通じて、視聴者に対し新たな視点や考え方を提供しています。

もう少し掘り下げてみると、『パトレイバー リブート』での女性隊長や気弱な男性パイロットのキャラクター設定は、簡単に言うと、昔ながらの「男らしさ」や「女らしさ」に関する考え方に挑戦しています。女性が指揮者やリーダーの役割を担うことで、「強さ」や「リーダーシップ」といった特性が男性だけのものではないことを示しています。これは、女性も重要な決定を下す立場にいることが当然であり、彼女たちがどんな職業にも就けることを表しています。

一方で、通常「男性らしい」とされる強さや自信に欠けるように見える男性パイロットは、男性も感情的で、強さの内面的な側面を持っていることを示しています。このキャラクターは、男性が感情的であることや弱点を見せることが悪いことではないというメッセージを伝えています。

これらのキャラクター設定は、人々が一般的に持っている性別に対する固定観念を超え、もっと広い範囲で個人を評価し、認めることの重要性を示しています。つまり、「男性らしさ」や「女性らしさ」といった古い枠組みを超えて、人々がそれぞれの個性や能力によって評価されるべきだという考え方を促進しているのではないでしょうか。

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