饒舌なる静かな多様性論者のブログ

最短ルートが正解とは限らない。大阪〜広島で、あえて「中国道」を選ぶ大人の贅沢

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大阪〜広島間をクルマで移動するとき、皆さんはどのルートを選びますか?

ナビをセットすれば、まず間違いなく最速ルートとして「山陽道」が表示されます。距離は短く、平坦で、直線的。効率だけを考えれば、それが大正解です。

でも、もしあなたが「運転そのものが好き」「愛車とのドライブを楽しみたい」と思っているなら、私はあえて別の選択肢を提案したい。「ナビの誘惑を振り切って、中国道へ向かいなさい」と。

カーブやアップダウンが激しく、一見すると過酷に見える中国自動車道(中国道)。しかし、少しでもクルマを操る楽しさを知っている人にとって、この道は単なる移動路ではなく、愛車のポテンシャルを存分に味わえる「最高のハイウェイ」へと姿を変えるのです。

理由1:他車にペースを乱されない「完全なるクリア空間」

山陽道を走っていて最もストレスが溜まるのは、道路の形状ではなく、日本の物流を支える「圧倒的な交通量」です。

2車線道路を塞ぐトラック同士の追い越し競争、急な車線変更、後ろから迫る車のプレッシャー……。周囲への警戒と無駄な加減速だけで、脳のメモリはすり減っていきます。

一方の中国道(吉川JCT以西)は、驚くほどガラガラです。勾配がきついため大型トラックの多くが山陽道へ迂回することもあり、前後に他車がまったくいない「独走状態」になることもしばしば。

  • 他車のブレーキランプに怯えなくていい
  • 自分のリズム、自分のタイミングで走れる
  • 1車線丸ごとを、贅沢に自分のラインとして使える

この空間的なゆとりこそが、長距離ドライブにおける精神的な疲労を劇的に減らしてくれます。

理由2:愛車の「走る・曲がる・止まる」がこれほど愛おしくなる

山陽道の単調な直線クルージングは、どんなクルマに乗っていても退屈なものです。ひたすらペダルを一定に保つだけの時間は、時に眠気すら誘います。

しかし、中国道(特に兵庫・岡山県境から三次、千代田にかけての区間)に入ると、ドライブの主導権がナビから「自分」へと戻ってきます。

目の前に現れるのは、日本の高速道路の黎明期に作られたがゆえの、きついアップダウンと連続するカーブ。ここで、あなたの愛車の「本当の実力」が顔を出します。登り坂の手前でギヤを落としてエンジンを力強く回す。カーブの手前でしっかり減速し、狙ったラインへ滑らかにステアリングを切る。そして、サスペンションがしっかりと仕事をして、クルマがピタッと安定するのを腰で感じる。

ミニバンであれ、SUVであれ、セダンであれ、「クルマを自分の意思でコントロールしている」という手応えが、時速80km前後の安全な領域で途切れなく続くのです。直線では気づかなかった、愛車の隠れた素直さや扱いやすさに、改めて惚れ直す瞬間がここにあります。

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実際に走ってみて——空気と匂いが、もう別の世界だった

初めて中国道を選んだのは、正直なところ「山陽道が混んでいそうだから」という消極的な理由でした。でも、吉川JCTを過ぎて中国山地に入った瞬間、ちょっとした感動がありました。

まず、空気が違う。窓を少し開けると、緑の匂いがぶわっと入ってくるんです。山の木々が両側から迫ってくる峠道特有の、あの湿った草木の香り。高速道路でこんな匂いを感じたのは初めてでした。

そして何より、クルマが少ない。前も後ろも、しばらく他車が見当たらない区間が何度もありました。山陽道では常に誰かのペースを気にしながら走っていたのに、中国道ではそのプレッシャーが完全にゼロ。ただただ、自分とクルマと道路だけがある感覚です。

「移動している」というより「走ることを楽しんでいる」。そのスイッチが入る瞬間が、中国道にはあります。到着したとき、不思議と疲れていないどころか、「もう少し走っていたかった」と思っていました。

気をつけるポイント:カーブは本物、スピードに注意

中国道の楽しさをお伝えしてきましたが、一点だけ正直に書いておきます。カーブは本当に急です。

「R=400」の標識が当たり前のように続く区間では、100km/hで進入すると明らかに速すぎます。楽しいからといってペースを上げすぎると、コーナーの出口で予想以上にアウト側へ膨らむ感覚があります。重心の低いスポーツカーならまだしも、背の高いSUVやミニバンで攻めるのは危険です。

おすすめは、余裕のある速度で走ること。時速70〜80km程度でも、コーナーの連続とアップダウンで十分に「走っている感」が得られます。法定速度を守りながら楽しめる道であることが、中国道の正直なところでもあります。

特に雨の日や夜間は路面が滑りやすい区間もあるので、天気が怪しいときは無理に中国道を選ぶ必要はありません。条件の良い晴れた日に、ぜひ一度試してみてください。

まとめ:効率を捨てる贅沢が、ロングドライブを「旅」に変える

大阪〜広島間を中国道経由で行くと、山陽道より距離にして約30〜40kmの遠回り、時間にして約30〜40分ほど余計にかかります。タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する現代において、これは一見「損」に見えるかもしれません。

でも、到着したときの「あぁ、いいドライブだった」という心地よい充実感は、山陽道では絶対に味わえないものです。

周囲に急かされるだけの「作業としての移動」を、愛車と対話する「極上の旅」に変えてくれる。次のロングドライブは、ぜひスマホナビの「最速ルート」を無視して、中国道の標識へとステアリングを切ってみてください。きっと、忘れていた運転の楽しさがそこにあるはずです。

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