饒舌なる静かな多様性論者のブログ

巨人・阿部慎之助監督の娘への暴行(とされる)事件に思う。家族の泥臭さが許されない時代に、娘を持つ父親として思うこと。

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読売巨人軍の阿部慎之助監督が逮捕・辞任したというニュースは、日本中に大きな衝撃を与えました。

事件の経緯や、その後の「娘がAIに相談して児童相談所に通報がいった」という現代ならではのプロセスを見て、世間では様々な意見が飛び交っています。

私も一人の娘を持つ父親です。
報道を見ながら、最初は「親だって人間だから手を上げたくなるときだってあるだろう。首を締めるとはやりすぎだけど」と受け止めていました。しかし、事件の背景や、釈放された後に娘さんが寄せた「父とはすでに仲直りしている。まさかこんな大ごとになるとは思わなかった」という手紙の言葉を読んだとき、胸の奥になんとも言えない、どんよりとした「しんどさ」が残りました。

「家の中のことだから」
「お酒が入っていたから」
「我が子を思って、カッとなってしまったから」

そんな言い訳が、今の時代、一切通用しなくなっている。
その事実の正しさを理解しつつも、どこか息が詰まるような、逃げ場のない寂しさを感じてしまうのは、きっと私だけではないはずです。

「正しいシステム」が、家族の泥臭さを置き去りにしていく

親だって神様ではありません。
仕事でギリギリまでプレッシャーを抱え、家ではお酒を飲んでホッと緩みたい日もある。10代後半になって口達者になった娘と言い合いになり、思わず感情がコントロールできなくなる瞬間だって、どこの家庭に転がっていてもおかしくない生々しい現実です。

かつてであれば、それは「激しい親子喧嘩」という、泥臭くて不完全な、だけど時間をかけて家族の中で修復していく「家庭内の出来事」でした。

しかし、今は違います。
子どもたちの手元にはスマホがあり、部屋にいながら一瞬で外の世界の「完璧な正論」や「公的なシステム」にアクセスできます。今回のように、AIが客観的なリスクを判断して「児童相談所へ」と導く。システムは一分の隙もなく、極めて「正しく」作動します。

問題は、そのシステムが動き出した瞬間、当事者たちの「ちょっと話を聞いてほしかっただけ」「親を少し懲らしめたかっただけ」という微細な感情や、その後の「仲直り」のプロセスをすべて置き去りにして、一気に「現行犯逮捕」「キャリアの破滅」という終着駅まで直行してしまうことです。

やや過剰だった娘の第一報が報道として全国に駆け巡り、それがだんだん話を大きくしていき——一度社会の網にかかれば、コンプライアンスという大義名分のもと、やり直しやグラデーションは許されません。白か黒か。それだけです。

この変化について、深く考えるきっかけになった本を3冊紹介します。

この変化を深く考えるきっかけになった3冊

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家族という病

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「家族は愛情で結ばれているはず」という幻想を解体する問題作。家族という関係性の本質をあらためて問い直す一冊。

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スマホ脳

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テクノロジーが人間の脳と行動をどう変えているかを解説。スマホが家族の日常関係を根底から変えている現実がわかる。

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父という病

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父親と子どもの間に生じるアタッチメントの複雑さを分析。父が子の人生に与える深い影響と、その修復について考える。

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「一番近い場所にいる、他所のデリケートな人間」として

家庭というのは、本来なら社会の厳格なルールから離れて、一番みっともない姿を見せ合える、最後の砦のような場所だったはずです。

それが今や、最も身近なはずの我が子が、自分のあずかり知らぬところで社会のシステムを動かせる「強力な武器」を握っている。親と子のパワーバランスは、私たちの親の世代とは完全に逆転しています。

この時代を親として生き抜くためには、ある種の「諦め」と「冷徹さ」が必要なのだと、今回のニュースは突きつけてきます。

子どもを「我が子」という甘えのフィルターで見るのをやめる。
どんなに生意気なことを言われても、感情のスイッチを切り離し、「一番近い距離にいる、他所のデリケートな人間」として接する。そうやって、親の側が冷徹に身を守るためのディフェンスを張らなければ、一瞬で家庭も人生も崩壊しかねない。

確かにそれが「正しい」世の中の姿なのかもしれません。
誰の目も届かない密室で、本当に深刻な虐待に苦しむ子どもを救うためには、社会の網の目をここまで細かくするしかなかったのだから。

だけど、やっぱり、しんどいなと思ってしまうのです。
正しすぎるルールがリビングの真ん中まで入ってきて、家族の不完全さが1ミリも許されなくなった現代の空気感は、どこか冷たくて、ひどく孤独に思えてなりません。

社会がアメリカみたいになっていくと言われて久しいですが、もっと別のロールモデルもあるのではないか。そんなことを考えながら、父親として自分を保つためのヒントになった本を3冊紹介します。

父親として感情と距離を取り続けるためのヒントになった3冊

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感情的にならない本

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怒りやイライラを脳科学・心理学から解説。感情的になることがいかに損かを理解し、コントロールする実践的な方法が学べる。

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怒りを「技術」として手放す方法を説く一冊。感情的に反応してしまう場面を事前にコントロールするためのアプローチが詰まっている。

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嫌われる勇気

アドラー心理学入門。承認欲求を手放し、他者の評価から自由になるための考え方が丁寧に説かれている。

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正論に殴り倒されないように、だけど娘への愛情の通わせ方だけは見失わないように。
重いお荷物を背負わされたような気持ちで、今日もまた、父親としての距離感を測りあぐねています。

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