週末になると、気づけばカレーを作っている。外食でカレーを食べることもあるし、レトルトを使うこともある。でも自分で作るカレーには、それらにはない何かがある。そのことをずっとうまく言葉にできなかったのだが、最近ようやく気づいた。「カレーは宇宙だ」と。
私のカレーは一般的なものとは少し違う。ルゥを使わないわけではないが、野菜をこれでもかというくらい入れるのが特徴だ。にんじん、じゃがいも、玉ねぎはもちろん、キノコ、なす、大根、ごぼうまで。最初に「カレーに大根?」と言われたことがあるが、食べてみると驚くほどうまい。
私がカレーを作るとき、野菜を3つの役割に分けて考えている。この発想に気づいてから、カレーの深みが一段上がった気がする。
玉ねぎ、にんじん、セロリ(あれば)などをみじん切りにして、カレー粉と一緒に油でじっくり炒める。水分が飛んでペースト状になるまで炒め続けると、これがルゥの代わりになる。市販のルゥを使う場合でも、このひと手間を加えるだけでコクと旨みが段違いになる。スパイスを直接野菜に絡めながら炒めることで、油に香りが移り、全体の風味の土台ができあがる。
キノコ(しめじ、エリンギなど)、なす、パプリカはひと口大に切って加える。これらは煮込むと形は残しつつも、出汁を出してくれる存在だ。特になすは油を吸ってとろとろになり、カレーのソースに溶け込む感じがたまらない。キノコは旨み成分が強いので、入れると一気に味が引き締まる。
じゃがいも、大根、ごぼうは大きめに切って存在感を残す。じゃがいもはほくほく感、大根はとろっとした甘み、ごぼうは独特の風味と歯ごたえがアクセントになる。特にごぼうはカレーとの相性が意外なほど良く、和の食材が洋のスパイスで全く新しい顔を見せてくれる感覚がある。
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カレーのすごいところは、何でも受け入れてしまうことだ。冷蔵庫に中途半端に残った野菜、食べきれなかった煮物、余った肉——全部カレーに入れると不思議とまとまる。
先日は里芋の煮物が残っていたので、そのままカレーに投入した。里芋がカレーのスパイスを吸って、全く新しい料理になった。筑前煮の残りを入れたこともある。ごぼうやれんこん、こんにゃくがカレーの中に入っているという状況は傍から見ると謎かもしれないが、食べてみると「なるほど」としか言いようがない味になる。
これがカレーが宇宙だと思う理由だ。どんな食材も、スパイスという引力の中に入ると、新しい何かに変わる。カレーに「入れてはいけないもの」はほぼない。むしろ冒険した方がおもしろい。
いくつかこだわりがある。まず、玉ねぎはとにかく時間をかけて炒めること。飴色になるまで20〜30分かけることで、甘みと旨みが引き出される。次に、スパイスは油に直接入れること。クミンシードをホールのまま油で熱すると、ぱちぱちと弾けて香りが一気に立つ。この瞬間がカレー作りで一番好きな瞬間かもしれない。
そして煮込む時間。野菜のゴロゴロを活かすために、じゃがいもや大根はある程度煮込んでも崩れない大きさに切る。煮込みすぎると溶けてしまうので、最後の20分で加える。反対に、細かくしてルゥにする野菜はとにかく早い段階から鍋に入れて時間をかける。この時間差がレイヤーを作るコツだ。
カレーに正解はない。レシピ通りに作ることより、冷蔵庫にあるものを組み合わせて「今日の宇宙」を作る方が楽しい。野菜を3層に分けて考えるという発想を持つだけで、カレーの作り方が一気に広がる。
難しいことは何もない。スパイスと油と時間さえあれば、誰でも宇宙を作れる。ぜひ一度、冷蔵庫の残り物を全部入れたカレーを試してみてほしい。
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