部屋を片付けられない人のブログ

NAロードスターは公園のベンチ、NDロードスターはグランピング──変わる楽しみ方のカタチ

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ロードスターを再び手に入れて感じたのは、NAとNDでは「楽しみ方の質」が違うということだった。2011年から2015年まで乗っていたNA Sスペシャルは、まさに「公園のベンチ」のような存在だった。そして2024年に迎えたND Sスペシャルパッケージは、「グランピング」のような感覚をもたらしてくれる。

どちらも「外の世界を楽しむ」ためのツールであることに変わりはない。しかし、その体験の仕方が少しずつ変わっているのだ。今回は、そんなロードスターの二つの楽しみ方の違いを語りたいと思う。

NAロードスター=公園のベンチ

NAに乗っていた頃は、とにかく車と一体になる感覚が楽しくてたまらなかった。オープンにして風を感じるのはもちろん、ステアリングを通して路面の小さな凹凸まで伝わってくる。五感をフルに使いながら、車と対話しているような感覚だった。

公園のベンチに腰掛けるように、自然をダイレクトに感じることができる。それは必ずしも快適とは言えない。長時間座ればお尻が痛くなることもあるし、急な雨には傘が必要だ。でも、それこそがNAの魅力だった。「不便さも含めて楽しむ」というのが、公園のベンチ的なロードスター体験だった。

例えばこんなシーンがあった。
秋の冷たい風を感じながら、ワインディングロードを流していたとき、ふと顔に冷たい一滴が落ちた。見上げると、色づいた紅葉の葉が風に揺れ、空の隙間から青い光がこぼれていた。屋根を開けていたからこそ気づけた風景だったし、それこそがNAロードスターの魅力だった。

NAは、まるで「野生のままの自然」を楽しむような車だった。刺激的で、ピュアで、時にはちょっと不便。でも、それが最高に楽しかった。

NDロードスター=グランピング

そして10年後、私はND Sスペシャルパッケージを手に入れた。ハンドルを握った瞬間に感じたのは、「あ、これはNAとは違うな」という感覚だった。

シートに深く包まれるようなフィット感。ステアリングの剛性感。そしてロードノイズの軽減。風を感じることはできるけれど、NAほどダイレクトではない。まるで、グランピングをしているかのような感覚だった。

グランピングとは、自然を楽しみながらも、快適さを失わないアウトドア体験のことだ。テントを自分で張る必要はなく、料理も用意されている。それでも、焚き火の前でコーヒーを飲み、星空を眺めることはできる。

NDは、まさにそんなロードスターだった。
自然を楽しみながらも、少しだけ「快適さ」や「洗練さ」がプラスされている。
ステアリングはリニアで、路面の情報は十分に伝わってくるけれど、NAほどダイレクトではない。エンジンのトルクがしっかりあるから、街中でもワインディングでも扱いやすい。しなやかな足回りは、ロングドライブでも疲れにくい。

そして何より、「妻が乗る可能性」を考えて、ATを選んだこともNDの「グランピング的」な要素を強めている。気軽に楽しめる、それでいてロードスターの魂は残っている。
これはこれで、素晴らしい選択だと感じている。

「物足りなさ」と「快適さ」のバランス

正直に言えば、NAにあった「ダイレクトな感覚」は少し薄れている。
それが**「物足りなさ」**につながることもある。NAに乗っていた頃の「車と対話している感覚」が懐かしくなることもある。

でも、それと同時に、NDの「快適さ」もまた魅力的だと感じている。たとえば、「今日はちょっと遠くまで行ってみようかな?」と思える気軽さ。
NAの頃は、「片道3時間のドライブ」には少し気合が必要だった。でも、NDなら躊躇なく行ける。 それは決して悪いことではない。

たぶん、歳を重ねたからこそ、この快適さが心地よく感じられるようになったのだと思う。
20代の頃は「刺激」が欲しかった。でも、40代に近づく今は、「長く乗れる楽しさ」を求めるようになった。NAのような「公園のベンチ」の楽しみ方もいいけれど、NDの「グランピング」の楽しさも悪くない。 そう思えるようになった。

ロードスターの「楽しさ」は変わらない

NAもNDも、それぞれ違う魅力がある。でも、その根底にあるのは**「運転する楽しさ」**だ。
ロードスターは、「移動のための道具」ではなく、「走ることそのものを楽しむための車」なのだ。

映画『戦場にかける橋』で、アレック・ギネス演じる英国軍の指揮官が、橋を完成させた後に、「我々は何のためにここにいるのか?」と自問するシーンがある。目的を達成した瞬間、彼は何かを失ったような表情を浮かべる。それは、「目的を持つことの大切さ」と「その先にある空虚さ」を同時に感じたからだろう。

NAとNDを比べると、少し似た感覚を覚える。
NAでは、「車と対話すること」が目的だった。NDでは、「快適に走ること」が目的になった。
でも、どちらも「ロードスターを楽しむ」という本質は変わっていない。

これからのロードスターライフ

10年前、私はNA Sスペシャルを手放した。そして今、ND Sスペシャルパッケージとともに、新しいロードスターライフが始まっている。

NAの頃は、「運転のスリル」と「車との一体感」を楽しんでいた。
NDでは、「快適さ」と「長く付き合える楽しさ」を感じている。

たぶん、この先また価値観が変わるかもしれない。
でも、それでいいと思う。ロードスターはどんな形でも「楽しさ」を与えてくれる車なのだから。

今日はNDの屋根を開けて、少し遠くのワインディングを走ってこようと思う。
公園のベンチではなく、グランピングのような「快適なオープンドライブ」を楽しみながら。

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