[相談内容]
和尚様、現代の技術、特にAIや自動運転自動車に対する不安や嫌悪、いわゆる「テクノフォビア」について考えさせられます。江戸時代の人々が写真を恐れたように、私たちも新しい技術に対して無理解からくる恐れを持っているのではないかと感じています。この恐れは人類の精神構造が進化していない証拠なのでしょうか?
[和尚の回答]
なるほど、テクノフォビアについて悩んでおるのじゃな。仏教の教えにも、このような心の動きを見つめ、理解するヒントがありますのじゃ。
仏教では、すべての存在は「無常」であり、変化し続けるものと教えております。この世界と我々の心もまた、絶えず変わりゆくもの。技術の進化もまた、この「無常」の一環じゃ。人々が新しい技術に対して恐れを感じるのは、未知への恐れと、変化する世界への抵抗から来るものじゃろう。
しかし、仏教はまた「中道」の重要性も教えております。これは、極端な拒否も、盲目的な受容も避け、バランスを取ることを意味しております。テクノフォビアも、新しい技術を全否定するのではなく、その利益とリスクを慎重に考え、理解を深めることが大切じゃ。
江戸時代の人々の写真への恐れと、現代の我々の技術への不安は、変わらぬ人類の精神構造を示しているかもしれませんな。しかし、それは進化の欠如というよりは、変化への自然な反応と受け止められます。大事なのは、その恐れを乗り越え、新しい理解と受容へと心を開く勇気を持つことじゃ。
人類の精神構造は、恐れを感じることによっても成長し、進化するのじゃ。未知への恐れを超え、知識と理解を深めることで、我々はより豊かな世界を築いていくことができるのじゃよ。